□■□クリスマスは君と一緒に□■□





「この辺で一番きれいなものを見に行こうよ」

と言うと、京一は、なんかどっかで聞いたようなせりふだなあ・・・とか言いつつも
結構嬉しそうについてきた。

「あ、あれかな?」

電飾できらびやかな街の中でもひときわ盛大に輝いているものがあった。
大きなクリスマスツリー。
空の星を全部つけたように、行き交う人の顔を明るく照らしている。

「すげーな。京一・・・」

と言って京一を見ると、京一はぼーっとツリーを見あげている。

「京一・・・?」
「・・・え?ああ、なに?」
「どうしたの?」
「いや、きれーだなーと思ってさ」

という京一に、俺は連れてきてよかったとすごく嬉しくなったけど、

「でも男どうしで見てもなあ」

と笑って言った京一の言葉にがっくりした。

「・・・不満か?俺とじゃ」
「え?・・・ふ、不満じゃねーよッ!」

軽く聞いた俺に、京一の答えが不自然なほど強くって、なんだか二人はちょっと驚いた。
そしてお互いに、相手がなにか言うのを待った。
でもふたりともなにも言わないから、甘い気まずさが流れて、もじもじした。

「京一と見られてよかったよ・・・」

と俺が言うと、京一は下を向いて頭を掻きながら、

「そんなこと言うなよな・・・」

とつぶやいた。意味が分からずに、俺が聞き返すと、京一は顔を上げて俺を見ながら

「どういうつもりで言ってんだよ?」

と声を絞り出すように言った。涙を出さずに泣いているようにも見えた。

「どういうつもりって・・・そのままの意味だよ」

と言うと、京一はうめくように言った。

「俺は・・・ひーちゃんが好きだ・・・」

びっくりしている俺の返事を聞こうともせずに、京一は俺を抱きしめた。

「ひーちゃんが気持ち悪がったって、離さないからなッ!」

俺がなにか言おうとすると、その気配を察して京一が強く抱いてくる。

「ばかだなあ・・・京一は」
「ば、ばかで悪かったなあッ」

俺は京一にもたれかかった。
いまどこからか流れてる讃美歌が終わったらキスしようと思いつつ・・・


メリークリスマス


◆碧玉龍に戻る◆