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「俺が作るから座ってろ」
と言うと、京一は、俺の腕を信用してないな?とか言いながらも、
ひーちゃんの手料理食いてーから待ってる、と言ってソファに横になった。
俺が買ってきたスーパーの袋の中から野菜を取り出して切ったり
お湯を沸かしたりしていると、いきなりうしろで気配がしたので慌てて振り返った。
「なんだ・・・京一か」
俺が呼びかけても京一は無言で立っている。
「なんだよ京一?俺の料理が心配か?」
と言って笑うと、京一はぎゅっと握りこぶしを作って、何かを耐えているようにも見えた。
「京一?」
と呼ぶ俺の声を振り払うように京一は背を向け、ソファに戻って行く。
苦しそうな京一の顔に、俺は心配になって火を止めソファに近づいた。
目をつぶって寝そべっている京一に、上から声をかけると、
京一はびっくりして目を開けた。
「どしたの?」
「・・・いや、べつに」
その声が苦しそうなので、俺はソファにちょっとだけ腰掛けて京一を見た。
京一は俺から視線を逸らすようにあちこち見ていたが、
俺がもう一度京一を呼ぶと、京一はため息をひとつついて・・・俺を抱きしめた。
「・・・京一?」
京一は俺の髪にキスしながら、好きだよ、と言った。
「男なのに、おかしいって思うだろ・・・」
そんなこと思うわけないじゃないか。
だって俺も、京一が好きだから。
俺は返事の代わりに京一にキスをした。
京一は一瞬驚いてから、俺を抱きしめた。
ソファはそんなに大きくないから、抱き合ってるうちに落ちちゃってふたりで笑った。
「でもさ、京一。どしたの?急に・・・」
「俺だって今日言おうとか思ってたわけじゃねーけどさ・・・そんなん着てんだもんよ、反則だぜ」
「え・・・?」
「・・・エプロン・・・」
「・・・変態だなお前・・・」
と言いながらも、普段はしないエプロンをわざわざ出してきて着た甲斐があったなあ、と思った。
メリークリスマス
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