□■□クリスマスは君と一緒に□■□





「それが一番楽しいよ」

と俺が笑って言うと、京一はちょっとすねたような顔をして言った。

「ひーちゃん、ごめんな。ほんとはもっと祝ってやりたかったんだけどさ・・・
 ラーメン大盛りとかじゃなくて」
「だからいいって。こうやって京一とラーメン食ったりするの、楽しいよ」
「・・・そうだな。ひーちゃんも無事だしな!」

というと京一は満面の笑顔を向けた。
京一はよく笑ったりよく怒ったり表情がいろいろ変わるけど、こんな笑顔を向けられると
ドキッとしてしまう。・・・惚れてんだなあ、俺。
無言でいる俺を不思議に思ってか、京一が俺の顔を覗き込んできた。
そして困った顔をしている俺を見ると、京一は俺を抱きしめて頭をなでた。

「おかえり、ひーちゃん」

俺は泣きそうになるのを必死にこらえたけど、京一にはばれているみたいだ。
京一は、まだずっと俺の頭をなでている、
たぶん、俺が落着いてただいま、と言えるようになるまで。
だから、俺はまだただいまを言わない。
京一の優しい手の感触を感じながら、遠くで讃美歌が流れているのを聞いている。


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