□■□クリスマスは君と一緒に□■□





絶対寝ないぞ。
万が一寝過ごしたら大変だ。
俺はコタツから出て、窓を開ける。
さむい!
すこし目がさめた。
だけどあんまり寒くしちゃうと帰ってきた紅葉がかわいそうだからすぐ閉める。
俺は大きくあくびをした。すると。

ピンポーン

と玄関のベルが鳴る。
紅葉だ!
俺は慌ててドアを開ける。
するとそこには、俺がずっと待っていた本人が立っていた。
どうしても顔がゆるむ。

「紅葉、はやかったね」
「待たせたら悪いと思って急いできたんだ」
「・・・ありがとう・・・。さ、はいって」
「ああ。おじゃまします」

俺の部屋に紅葉がいる。
もうそれだけで幸せだった。
俺はかなりはしゃいじゃって
グラスを落としたりした。
それを笑いながら紅葉が拾ってくれたりして。

俺は紅葉を席に座らせると、
二人で向かい合って食事をした。

食事のあと、紅葉が何か紙包みを手渡してくる。

「なに?」
「プレゼント。気に入ってもらえるかわからないけど・・・」

俺は震える手で紙包みを開ける。
なんでもよかった、ただ紅葉が俺にプレゼントを用意してくれたってことが嬉しかった。
そこには・・・手袋。

「紅葉・・・これ、手作り?」
「・・・そうだよ。出来が悪いかい?」
「いや・・・そういう意味じゃなくて・・・欲しいって思ってたからさ」
「・・・以前から思ってたんだ。君の手が冷たそうだって」

以前から、思ってたんだ。
だって?
俺は嬉しくて嬉しくて思わず紅葉を抱きしめた。
紅葉はびっくりしていたが、

「そんなに喜んでもらえると僕も嬉しいよ」

と笑って言う。
俺は紅葉を抱きしめたままキスをする。
紅葉は抵抗しない。
わかってたんだろう。こうなるってこと。
それでも、俺の家に来た。

「紅葉・・・紅葉・・・」

俺はたくさん名前を呼ぶ。
紅葉はそのたび赤くなったが、

「龍麻に言われると、不思議と気持ちがいいんだ・・・」

と聞こえるか聞こえないかの声で言った。
俺は紅葉にキスをし続ける。
頬にも首にも胸にも。
そしてベッドに押し倒した・・・。

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「紅葉。俺からのクリスマスプレゼント」

と言って俺は帰る前に買ってきた包みを渡す。
紅葉は、ちょっと驚いた顔をして、でも嬉しそうに聞いてきた。

「開けてもいいかい?」
「もちろん。開けてみて」

紅葉はその長い指で包みをそっと開ける。
そして中から銀の写真立てを取り出した。

「写真立て・・・」
「そう。紅葉んちに、紅葉と俺の写真飾ってもらおうと思って」

俺は紅葉の家には行ったことないけれど、
たぶん写真なんて一枚も飾ってないだろう。
写真って、不思議なものだ。
ただの紙なのに、飾ってるだけで、優しくなったり寂しくなくなったりする。
紅葉が俺の写真を飾って、
一人のときも寂しくないって思ってくれたらどんなに嬉しいだろう。
俺はそう思ってこれを贈った。
それを知ってか知らずか、紅葉は非常に嬉しそうな顔をする。

「うん。飾るよ。でもそれには、写真とらなきゃいけないな」
「そうだな・・・じゃ、明日、写真撮りにどっかでかけようか」

紅葉はにっこりわらってうなずくと、俺の胸に顔を埋めた。

メリークリスマス。


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