□■□クリスマスは君と一緒に□■□





俺は手を離した。

「ご、ごめん・・・」

壬生はちょっと悲しそうな顔をした。
たぶん、傷ついた。
土足で、踏み込んだ。
謝ったのが余計に。
いたずら半分でそうしたみたいで。

俺は黙った。
壬生もしゃべらなかった。
重い空気が流れた。
壬生はくるりと反転してお風呂場へ入った。
泣いていた。
涙は流さずに。

俺は壬生を抱いた手の、壬生を離した手の、行き場がなくて、
ズボンでごしごしと手荒くこすった。
その痛痒さに俺は唇をかんで、
壬生の家を出た。

あのカレーを、ひとりで壬生は食うのだろうかと思いながら。


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