□■□クリスマスは君と一緒に□■□





俺はなにも言わずにキスをした。
優しく。
触れる程度の。

俺が唇を離すと、壬生が泣いているのがわかった。

「どうして・・・こんなことするんだい・・・?」

俺は心臓をわしづかみにされたように感じた。
傷つけた。
血を洗い流していない壬生を抱きしめた。
それは・・・壬生の気持ちを踏みにじってる。
こんな自分を見せたくないと思ってる。
人を殺してきた自分を許せないと思ってる。
だからこそ触れないで欲しい、そう思ってる。
でも俺は・・・
だからこそ抱きしめる。

「壬生が・・・紅葉が・・・好きなんだ」
「龍麻・・・」
「ぜんぶ。まるごと。紅葉が嫌いな紅葉も、俺は好きだ」

そして俺はもう一度キスをした。
2回、3回・・・いっぱい。
俺は紅葉の服を脱がせた。
そしてお風呂場に行って、体を洗ってやる。

「紅葉は、汚くなんかないよ、汚れてないよ。きれいだよ・・・」
「よしてくれ・・・」
「ほんとだよ。全部、紅葉が抱えてるもの全部、ひっくるめて愛してる」
「龍麻・・・」

また泣いた。
その涙を俺は口で吸う。
そのしょっぱさは紅葉の悲しみのようで。
俺はその悲しみごと引き受けてやりたい。
紅葉を抱きしめる。
そして長いキスをした。

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シャワーから上がって、カレーを食べた。
紅葉は辛いとか水っぽいとかいろいろ言いながら全部食べた。
その間、紅葉はよく笑った。

メリークリスマス。


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