■Love me■ |
「痛……ッ」 京一は顔を顰めて息を呑んだ。 「いてぇよ、ひーちゃんッ」 「……暴れるなよ、京一。怪我させちまう」 「だったら、離せッ!」 龍麻は逃げを打つ京一の腰を掴んで引き戻した。 「こんなとこでやめられるかよ」 「やだ……ッ」 痛みのあまり涙の浮かんだ目で龍麻を見る。 「そんな顔してもダメだよ……」 対する龍麻の口調はあくまで優しかったが、態度は強引だった。 「……くッ!」 苦痛に唇を噛み締める。 「京一!力抜けって。それじゃあ、余計つらくなるぞ」 「だったら、もうやめろよ」 「お前が言い出したんじゃないか」 「……ッ!俺は、こんなことしたいなんて、言ってねェッ!」 京一の言葉に龍麻は溜め息をついた。 「今更言っても遅いよ」 尚も逃げようとする京一の足首を掴んで自らの胸元に引き寄せた。 「だからって、ソレはないだろうがよッ!!」 「何言ってるんだ。ちゃんと煮沸消毒してあるぜ」 「そーいう問題じゃないッ!」 京一は上体を起こすと龍麻の右手を捕らえた。 その指先には銀色に輝く縫い針があった。 「大体、針なんかで取ろうって言うのが無茶なんだ!」 「お前が魚の目が出来て歩くと痛いって言うから、こうやって取ってやろうとしてるんじゃないか」 「取らんでいいッ!!」
――とある平和な日の風景である。
【辻原さとるのコメント】 半ノンフィクションだったりする・・・(涙) 痛いんだよ、まじで。そのままでも、針で取るのも(爆) そんな訳で今年は健全な道を歩みます。 |
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