「終わるの待ってるよ」
俺がそう言うと、壬生はちょっと俺を見つめていた。
たぶん、どうしてそこまでして僕といたいんだろう、なんて考えているのだろう。
そういうとこ鈍感だな。
俺の紅葉スキスキ光線は当の壬生だけには伝わってないみたいだ。
他のやつらにはばれてるってのに。
やがて壬生はコートのポケットから鍵を取り出すと僕に言った。
「じゃあ、これうちの鍵」
「え?家行っていいの?」
「帰るのは多分10時くらいだから、もうお店やってないだろう。」
「そ、そっか。10時だな、わかった。待ってる。」
壬生は、家までの地図をさらさらっと書きつけると俺に手渡し、
じゃ、と短く挨拶をして行ってしまう。
そんなそっけないとこがまたかわいい。
地図を見る。
ここから電車で3つか。
壬生の字って綺麗だな・・・。
思わず顔がほころぶ。
さて10時までどうしようか。あと・・・4時間か。
A 買い物だな!壬生へのプレゼントに、ケーキ・七面鳥は絶対だろ。それから花買って・・・。
B 二人だし、小さいケーキでも買って家でおとなしく待とう。
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