「紅葉が欲しいんだ」
思い切ってそう言ってみる。
壬生は意図がいまいちつかめずにきょとんと俺を見つめている。
「龍麻・・・それ、どういう意味?」
「どういうって・・・そのままの意味だよ」
壬生はまた数秒黙り込んで、また言った。少し顔が赤い。
「そういうのって、女の子に対して言うものじゃないか?」
「・・・俺は、紅葉に対して言ってるの。紅葉がいいの」
「あ、あんまり下の名前で呼ばないでくれ・・・。恥ずかしいよ」
「だめ。紅葉、いい名前じゃないか」
壬生は顔を真っ赤にして下を向いていた。
「わ、わかった。じゃあ・・・仕事が終わったら、君の家に行くよ・・・」
「えっ?うちに?」
「だめなのかい?」
「いいけど・・・」
・・・そりゃ嬉しいけど、壬生が家に来たら何するかわかんねーと言うかわかってると言うか。
「じゃあ、10時過ぎになると思うから・・・」
「あ、ああ。・・・あ、うち、わかんないよな?ちょっと待って。地図書くから。」
俺は寒さと嬉しさとで震えそうになる手を必死に押さえながら地図を書いた。
まちがってないよな?
間違ってたら、壬生来れないんだぞ?
何度も何度も見直す。
よし。
壬生に地図を手渡すと、壬生はちらっと見て、じゃ、と言って行ってしまう。
顔は真っ赤だし俺の顔を見ないまま。
あの様子だと、うちに来たらどうなるか知ってて来るって言ってんのか・・・?
嬉しい期待をしてしまいそうになる。
今は6時。
あと4時間か・・・。
買い物でもしようかな・・・。
A プレゼントを買おう
B いろいろ買おう
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